2013年12月3日火曜日


春日神社で撮影し、参拝した後、表の参道とは別に裏にも下りる道があった。そこを下って歩いていたら、道が妙な感じで蛇行している。これは昔の道だろう、ひょっとしたら長崎街道と関係があるのかな? と疑問をいだいた時、目の前にお洒落な古本屋さんがあるのに気がついた。

ここならば教えてくれるのではないかと入って訊いてみたら、長崎街道はそのお店の前の道だという。「この角を曲がって、国道三号線を越えて、鉄道に添って……」と詳しく教えていただいた。

この古本屋さんだが、棚を見ていると只者ではない。素晴らしい品揃えなのだ。そこでいろいろ質問していたら、驚くような接点があった。


先ず、この建物だが、慶応四年に建てられたということなので、築140年! 外は改装されているので気がつくにくいが、梁などは立派なものだ。この地区では最も古い民家だろうという。

古本屋としての歴史も長そうなので、昔、黒崎で丸山天寿さんがやっていた古本屋をご存知ですか? と訊いてみたら、丸山天寿さんが古本屋を始める前からよく知っているという。丸山天寿さんを知らない人のためにちょっと解説すると、五十歳を過ぎて目を悪くされ、お店をたたんだのだが、その後、小説家を目指した。本はたくさん読んできたし、書きたいテーマは山のようにある。ということで家族の協力を得て、執筆を開始して、最初に書き上げた作品を講談社のメフィスト賞に送ったところ、これが見事に大賞となり、作家デビューを果たす。五十半ばの快挙。その後も秀作を発表し続けている折尾在住の作家なのです。

上の写真の奥の棚は、丸山天寿さんが古本屋をたたむ時に譲り受けたものだという。


そんなこんなで話が弾み、ぼくが小さい頃、八幡東区の昭和町の近くに住んでいたことを話すと、村田さんもちょっと驚いた表情をした。なんと、村田さんの実家は昭和町の電停から南に少し入ったところで本屋さんをしていたというのだ。その本屋のことをぼくは覚えている。母がやっていた洋装店もことも記憶にあるらしい。

不思議なご縁がここでもつながり、とても楽しく、懐かしい話に花が咲いたのだ。昭和町電停近くにあった「民衆楽映劇」もしっかり覚えていておられて、盛り上がった。

上の写真の右に、映画の写真がたくさん入った箱がある。これは黒崎にあった映画館のウィンドウに貼られていたものらしい。相当にレアな貴重品だが、小さなものはなんと100円なのだ。

最後に一言、この「古本や檸檬」は最近ブルータスが特集した「古本屋好き。で福岡県から二軒紹介された古本屋さんの一つなのです。

続きは、こちら↓
古本や檸檬で買った『セーヌの釣りびとヨナス 』を春の町のAtelier and Cafe INSANITYで読む

===

◎ 古本や檸檬 HP


© Junichi Nochi(野知潤一)
 
Toggle Footer